本記事では
- スライダーの横変化量・球速・利き手が投球結果にどうのように影響するのか?
を紹介します。
スライダーは比較的安全なボール
スライダーは比較的安全な球種です。 MLBの球種別のxwOBAを見ると一目瞭然です。
球種 | xwOBA |
4シーム | .350 |
2シーム | .347 |
スライダー | .270 |
カッター | .326 |
カーブ | .268 |
ナックルカーブ | .258 |
チェンジアップ | .295 |
スプリット | .245 |
xwOBAとは打球(打球速度・打球角度)から推定したwOBAで、打率や出塁率のように高ければ失点に繋がるリスクが高いということです。 MLBとNPBの投球割合は下記となっています。
球種 | 2021MLB 投球割合 | 2021NPB 投球割合 |
4シーム | 35.4% | 44% |
2シーム | 15.5% | 7% |
スライダー | 19.2% | 16% |
カッター | 6.7% | 8% |
カーブ | 8.6% | 7% |
チェンジアップ | 11.4% | 6% |
スプリット | 1.5% | 10% |
MLB・NPB共に変化球の中では一番投球割合が多くなっており、投手にとってスライダーという球種が一番人気があることがわかります。
そんなスライダーで重要な要素を紹介していきます。
スライダーの重要な要素は横変化量と球速
結論から言うとスライダーの重要な要素は
- 横変化量
- 球速
- 利き手
です。
スライダーの横変化量と球速の関係
スライダーは横変化量が大きく球速が速ければ失点のリスクが抑えられます。
*横変化量はプラス方向が利き手側への変化を表しています。
RV100はRun Value×100の意味で、そのボールを100球投げた時にどれだけ失点リスクがあるかを表した数字です。
マイナスであれば平均よりも失点を防げているという事になります。
図を見ていただくとわかりますが、横変化量が大きく、球速が速い方が失点リスクが低くなっています。
それ以外にも横変化量が0~4付近の抜けスライダーと思われる球質でマイナスに出ている傾向も見られます。
失点リスクが低い理由としては空振りが奪えるということが要因として挙げられます。
whiff%は打者がスイングをした際に空振りした割合です。非常にわかりやすい傾向が出ていますね。
スライダーは横変化量と球速が重要であることがわかります。
スライダーの利き手の違いによる傾向
スライダーは左右による影響が大きくなっていました。
右対右&左対左では全体的にRV100が低く出ており、利き手が一致する場合にスライダー自体が有効であることがわかります。
対して右対左&左対右の利き手が一致しない場合はRV100が高めに出る傾向になり、スライダーが有効でないケースが多くなっています。
スライダーは利き手の影響が大きいことがわかります。
続いて投球割合の一番多い4シームがスライダーに及ぼす影響も見ていきます。
4シームがスライダーに及ぼす影響
一番速い球速である4シームがスライダーに及ぼす影響も見ていきます。
4シームの球速がスライダーに及ぼす影響
4シームの球速がスライダーに及ぼす影響を見ていきます。
スライダーの球速の影響をなくすため、球速範囲を平均±2として集計しました。
*2シームしか投げない投手や2シームの方が速い投手は2シームの球速としています
はっきりとした傾向が出ているわけではありませんが、4シームの球速が速い方がスライダーの失点リスクを抑える傾向がやや見られる印象です。
4シームの球速が速いに越したことはない、という感じでしょうか。
続いて4シームとスライダーの球速比の影響を見ていきます。
横変化量がMLB平均を超える場合は球速比の違いによる影響はあまり見られません。
変化量が0からMLB平均である16cmくらいまでは4シームとの球速比が高い方が失点リスクが低く出ています。
横変化量が0以上(シュート変化)になると球速比が低い方が良いようです。
4シームの横変化量がスライダーに及ぼす影響
4シームの横変化量がスライダーに及ぼす影響を見ていきます。
*2シームしか投げない投手や2シームの方が速い投手は2シームの球速としています
4シームとの横変化量差が大きいと球速が遅くても失点リスクが少なくなっていることがわかります。
スライダーの効果を上げるには4シームのシュート変化量を大きくするのは有効なようです。
スライダーの有効的なコース
続いてスライダーの有効的なコースを見ていきます。
利き手によって違いがあるので利き手別で紹介します。
右対右や左対左の利き手が同じ場合です。
真ん中付近に甘く入るスライダーの失点リスクが高くなっています。
また、内角低めの腕が伸びながら拾えるゾーンも失点リスクが高い傾向にあります。
有効なコースは外角低め付近です。
ボールゾーンはリスクが高くなる傾向にも関わらず外角のボールになるスライダーは失点リスクが低くなっています。
空振りが非常に奪いやすいのが要因として挙げられます。
また、空振り率は高くありませんが、内角ギリギリに入ってくるフロントドア(低め以外)や高めのスライダーも失点リスクが低く出ています。
続いて右対左や左対右の利き手が違う場合です。
利き手が同じ場合と一緒で真ん中付近は危険ゾーンとなっています。
利き手が同じ場合は内角低めが危険ゾーンでしたが、利き手が違う場合の内角低めの食い込んでくるスライダーはボールゾーンでも失点リスクが低くでており、有効なコースであることがわかります。
空振りが非常に奪いやすいのが要因として挙げられます。
また、空振り率は高くありませんが外角から入ってくるバックドアや高めのスライダーも失点リスクが低いコースであることがわかります。
スライダーの球質・球速・利き手が投球結果に及ぼす影響まとめ
以上が、スライダーの球質や球速や利き手が投球結果に及ぼす影響についてのご紹介でした。
結論としては
- 失点リスクが低い球種
- MLBもNPBも変化球では一番投球割合が多い
- 横変化量と球速が重要
- 利き手が同じ場合(右対右&左対左)に有効
- 4シームが速い方が効果的
- 4シームとの球速比は高い方(球速差が少ない)が良い
- 4シームとの横変化の差が大きい方が効果的
- 高めが有効
- 利き手が同じ場合は外に逃げるコースが有効
- 利き手が違う場合は内に入ってくるコースが有効
- 真ん中は危険ゾーン
下記の記事は球質改善の参考になりますので、ご参照頂けますと幸いです。
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