ボールの違いについて/NPB・MLB・KBO・アマチュアで比較

2021年、MLBの粘着物質問題によって「ボール変更したらどうか」という話題が出ています。

気になるのはボールを変更する事への影響です。

そこで、今回はNPB球・MLB球・KBO球・アマチュア球のボールの違いをまとめてみました。

計測結果/NPB・MLB・KBO・アマチュアの比較

実際にボールを買って計測してみることにしました。

MLB NPB KBO 六大学 BCボール

BCリーグ球はファールボールを頂いたので持っています。

遊びで使用して汚れていますが(笑)

購入して比較した結果をまとめると下記になります。

種類 重さ
(g)
直径
(mm)
縫い目高さ
(mm)
縫い目幅
(mm)
MLB 147.1 72.7 0.75 8.3
NPB 146.5 72.0 0.95 7.9
KBO 143.4 71.6 1.30 7.6
BCリーグ 149.1 72.8 1.25 6.8
六大学 146.8 72.0 1.35 6.3

NPBのボール規格によると、

  • 縫い目の高さ:0.9mm
  • 縫い目の幅:8.0mm

となっているのでNPB球は2011年から使用している統一球規格に沿った数値となっていることがわかります。

参考:2011年シーズンから使用する統一球について
参考:統一試合球に関する規則改正について

直径の違い

MLBボール直径

MLBボール直径

NPBボール直径

NPBボール直径

KBO球直径

KBO球直径

BCリーグ球直径

BCリーグ球直径

六大学球直径

六大学球直径

ネット上ではMLB球が大きいとの情報が出ています。

しかし、実際に計測してみるとボールの大きさ自体にはそこまで違いはなく、最大で1mmくらいの差となっていました。

私が持ってみて大きさの違いは感じられません。

重さの違い

MLB球重さ

MLB球重さ

NPB球重さ

NPB球重さ

KBO球重さ

KBO球重さ

BCリーグ球重さ

BCリーグ球重さ

六大学球重さ

六大学球重さ

ネット上ではMLB球が重いという情報が出ています。

しかし、重さ自体はKBO球がやや軽い程度でそこまで大きな差はありませんでした。

私が持ってみても重さの違いは感じられません。

BCリーグ球は遊びで使って汚れていたり用水路に落としたことがあるので、やや重くなっているのかもしれません。

縫い目の高さに大きな違い

MLB球縫い目の高さ

MLB球縫い目の高さ

NPB球縫い目の高さ

NPB球縫い目の高さ

KBO縫い目の高さ

KBO縫い目の高さ

BCリーグ球縫い目の高さ

BCリーグ球縫い目の高さ

六大学球縫い目の高さ

六大学球縫い目の高さ

注目したいのは縫い目の形状です。

縫い目の高さは縫い目を含めた直径から縫い目を含めていない直径の差から算出しています。

高さはMLB球が一番小さく0.75mmで、六大学球の1.35mmと比べると半分近くになっていることがわかります。

NPB球は0.95mmで、MLB球とそこまで差がありませんが、触ってみるとわずかな違いを感じ取れます。

なお、KBO球・BCリーグ球・六大学球は、MLB球やNPB球に比べ縫い目が高いのがはっきりと感じ取れます。

縫い目の幅に大きな違い

MLB球縫い目の幅

MLB球縫い目の幅

NPB球縫い目の幅

NPB球縫い目の幅

KBO球縫い目の幅

KBO球縫い目の幅

BCリーグ球縫い目の幅

BCリーグ球縫い目の幅

六大学球縫い目の幅

六大学球縫い目の幅

縫い目の幅については逆になっています。

MLB球やNPB球が広く、逆に六大学やBCリーグ球は狭くなっています。

KBO球は縫い目の高さが高いですが、縫い目の幅は六大学やBCリーグほど狭くなっていませんでした。

縫い目の形状に大きな違い

MLB球縫い目形状

MLB球縫い目形状

NPB球縫い目形状

NPB球縫い目形状

KBO縫い目の形状

KBO縫い目の形状

六大学球縫い目形状

六大学球縫い目形状

BCリーグ球縫い目形状

BCリーグ球縫い目形状

写真ではわかりにくいですが、

  • MLB球は縫い目がが低く幅が広い
  • 六大学球の縫い目は高く狭い

のがわかると思います。

皮の感触の違い

よく聞くのが、MLB球はパサパサして乾燥していて、NPB球はしっとりしている、という意見です。

残念ながら、私が触ってみてどのボールも違いはわかりませんでした(BCリーグ球は遊びで使っていたのでズタズタなので除外)。

ただ、ボールの表面にはロウが塗ってあり、砂でロウを落としているというのを球辞苑で見た記憶があるので、それをしないと違いが判らないのかもしれません。

ちなみにロウを落とす「もみ砂」は市販されていました。

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なお、MLBでもロウを落とす作業は行われているようです。

下記の記事ではその砂の質の影響で滑りやすいという事が記載されていました。

日本人投手はWBC本番前に確認を!“砂で揉んだ”滑るボールに要注意。(鷲田康)
巨人からボルチモア・オリオールズに移籍した上原浩治投手(現ボストン・レッドソックス)のメジャー初マウンドは、

ボールの感触の違いがロウを落とす作業による違いなのであれば、対策は簡単そうなんですけどね。

ボール形状の違いのまとめ

サイズ、重さについて大きな違いはありませんでした。

感触については「もみ砂」の違いによる影響があるのかもしれません。

ただ、それよりも縫い目の形状の違いが気になるところです。

次章で球質についての影響をまとめていますが、ボールによる変化量の違いは大きいです。

アマチュアで活躍して、プロで活躍できないというのが、意外にもボールの違いに順応できないから、というのはあるのかもしれません。

NPB球・MLB球・アマチュア球の変化量の違い

各ボールの変化量の違いを見ていきます。

MLB球とアマチュア球の違い

MLB球とアマチュア球の違いを見てみます。

幸運なことに、2021年の都市対抗中継中にトラックマン計測データの一部が紹介されていました。

そのデータとMLBのトラックマンデータの平均ホップ量を比較してみると大きな差があることがわかります。

  平均ホップ量
(cm)
2021MLB 40.8
2021都市対抗 46.5

基本的に競技レベルが上がるとホップ量が大きいという実験結果が出ています。

【プロ野球投手のボールスピンの特徴】論文レビュー
プロ野球投手とアマチュア投手のボールスピンの違いについてです。【プロ野球投手のボールスピンの特徴】の論文レビューです。

競技レベルがMLBの方が高いにも関わらず、ホップ量が6cmほど低く出ています。

もちろん、MLBの方が球速が速いのでホップ量が少なく出る傾向があるものの、それにしても大きな差です。

続いて私が実際に都市対抗で計測した数値と比較してみます。

下記は山田龍聖の4シームホップ量です。

  回転数
(rpm)
ホップ量
(cm)
私計測 2,360 51.1
都市対抗
トラックマン
2,365 61.7

私の計測は回転数や回転軸などからホップ量を計算しています。

計算式はMLBのホークアイデータから回帰式を導き出しているので、ホップ量はMLB球想定です。

(2019年前後の)ラプソードと同じような結果が出ていることは確認済です。

対して都市対抗で紹介されたデータはトラックマンの実測値です。

私計測は実測値ではありませんが、ここまで大きく差が出るのは考えにくいです。

なので、この10cmほどの差はボールの違いによるところが大きいと思われます。

以上のように、MLB球とアマチュア球で変化量に違いがあるのは確実といえるでしょう。

NPB球とMLB球の違い

同様にNPB球とMLB球の違いを確認してみます。

こちらも幸運なことに、ヤクルトがホークアイデータを公開してくれました(現在は非公開)。

MLBのトラックマンデータと比較すると下記です。

  平均ホップ量
(cm)
2021MLB平均 40.8
2021ヤクルト平均 49.2

ヤクルト平均はMLB平均を大きく上回っています。

ヤクルト投手陣が優秀ということもありますが、それでもヤクルト平均がMLB平均を8cm以上も上回っているというのは差が大きすぎます。

ボールの違い以外には考えにくいです。

続いて私が実際に計測した数値と比較してみます。

下記は梅野雄吾の4シームホップ量です。

  回転数 ホップ量
私計測 2,363 51.5
ヤクルト
ホークアイ
2,343 57.4

私の計測は2021年4月に行われた2軍戦です。

山田龍聖と同様に私の計測結果はMLB球想定のホップ量です。

対してヤクルトのホークアイは実測値です。

私計測は実測値ではありませんが、ここまで大きく差が出るのは考えにくいです。

この6cmほどの違いはボールの違いによるものと思われます。

NPB球・MLB球・アマチュア球の変化量の違いまとめ

以上からMLB球に比べNPB球やアマチュア球の方が変化しやすいのでは?という仮説が浮かび上がりました。

データをまとめてみると下記になります。

  山田龍聖
ホップ量(cm)
梅野雄吾
ホップ量(cm)
私計測
(MLB球想定)
51.1 51.5
ヤクルトホークアイ
(NPB球)
57.4
2021都市対抗
(アマチュア球)
61.7

そして変化量の大きさについては上記の表から

  • アマチュア球 > NPB球 >MLB球

という事が推測できそうです。

ただし、私計測はあくまでもMLB球の場合の「推定値」です。

なので、正確な違いをはっきりさせるのであれば、トラックマンを使用して検証する必要があります。

MLBがNPB球を採用したらどうなるか?

これはやってみないとわかりません。

しかし、変化量が多くなれば空振りが多くなると思われます。

下記の記事では4シームについて調査していますが、ホップ量が大きくなればなるほど空振りが増えているのがわかります。

【4シーム】ノビ・球速・リリース高さが投球結果に及ぼす影響・効果
4シームの危険性の高さや球速や球質による投球結果への影響をご紹介。4シームの特性をよく理解し、投球への参考にして頂けますと幸いです。

また、スライダーは横変化量が大きくなると空振りが増えることもわかっています。

ただし、変化量が大きくなるという事は、ボールの軌道の違いが大きくなるということです。

最近では「ピッチトンネル」という言葉をよく耳にしますが、球種判断を遅らせることが重要とされています。

変化量が大きくなれば、軌道の違いがわかりやすくなり、球種判断が早くなる傾向になるでしょうから、打者にとっては打ちやすくなる可能性もあります。

その為、一概にどうなるということは現時点でわかりません。

ただ、以上のようなデータを見ると、

  • アマチュアで活躍してもプロで活躍できない
  • KOBで活躍していてもNPBで活躍できない
  • NPBで活躍していてもMLBでは活躍できない

という選手がいるのも、「ボールの違いによる変化量の違い」という要因は大きいのかもしれません(打者も投手も)。

そう考えると、ボールを変えることへの影響は大きくでてしまう場合もありそうです。

MLBはボールを変更するのであれば、変更後のボールの特性(反発だけでなく変化量への影響も含め)をよく理解した上で行う必要があるでしょう。

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