NPBとMLBのボールの違いについて

ここ最近、MLBの粘着物質問題によって「ボール変更したらどうか」という話題が出ています。

気になるのはボールを変更する事への影響です。

そこで、今回はNPB球とMLBのボールの違いと変更によってどんな影響があるのかをまとめてみました。

NPB球とMLB球のボールサイズや重さの違い

ネット上の情報

ネット上の情報をまとめてみるとNPB球とMLBのボールは下記となっていました。

  円周(cm) 重さ(g)
規格 22.9~23.5 141.7~148.8
NPB球 22.9 141.7
MLB球 23.5 148.8

ボールのサイズや重さについては、公認野球規則により統一されているようですが、規格に幅があるので、その幅が違いとなっているようです。

NPB球では規格の最小を目標に制作されているようですが、MLB球は規格の最大を目標に作られており、NPB球とMLB球で大きさや重さに違いがでているというわけです。

ちなみにNPB球とMLB球で円周0.6cmの違いなので、直径にすると2mmほどの違いです。

わずかの差に感じますが、選手はこの差を感じ取れるほど感覚に優れているようです。

ただし、MLB球の重さについては下記の記事のように、低反発にする上で最大2.8g軽くしたとの報道が出ています。

MLB取り組む「動きのある野球」低反発化で第一歩 - MLB : 日刊スポーツ
MLBは、年々増加していた本塁打数を抑えるため、低反発に改良した公式球を今季から使用することになった。8日付のジ・アスレチックスによると、ボールの内部構造を変… - 日刊スポーツ新聞社のニュースサイト、ニッカンスポーツ・コム(nikkansports.com)

ネットの情報なので、本当かどうか定かではないので、実際に計測してみることにしました。

実際に計測してみる

NPB球:https://amzn.to/3cWXvLj

MLB球:https://www.mizunoshop.net/f/dsg-679197

ミズノで六大学試合球も売っていたので一緒に買ってみます。

六大学球:https://www.mizunoshop.net/f/dsg-707883

また、BCリーグ球はファールボールを頂いたので持っています。

遊びで使用して汚れていますが(笑)

BCリーグ球

結果が出たらここに更新します。

【追記】

さっそく購入しました。

購入して比較した結果をまとめると下記になります。

種類 重さ
(g)
直径
(mm)
円周
(mm)
縫い目高さ
(mm)
縫い目幅
(mm)
MLB 147.1 72.7 228.3 0.75 8.3
NPB 146.5 72.0 226.1 0.95 7.9
BCリーグ 149.1 72.8 228.6 1.25 6.8
六大学 146.8 72.0 226.1 1.35 6.3

円周について

MLBボール直径
MLB球直径
NPBボール直径
NPB球直径
BCリーグボール直径
BCリーグ球直径
六大学ボール直径
六大学球直径

円周については直径から計算しています。

ネットで情報収集した際には、円周は229~235mmとのことでしたが、円周が全てのボールで規格外になっていました。

おそらく円周の定義は縫い目の高さを考慮した場合なのでしょう。

ボールの大きさ自体にはそこまで違いはなく、1mm以内の差となっていました。

私が持ってみて大きさの違いは感じられませんでした。

重さについて

MLB球重さ
MLB球重さ
NPB球重さ
NPB球重さ
BCリーグ球重さ
BCリーグ球重さ
六大学球重さ
六大学球重さ

重さについては141.7~148.8gという規格に対して、全て重い方に寄せていることがわかります。

なお、BCリーグ球が規格外となっていますが、遊びで使って汚れていたり用水路に落としたことがあるので、やや重くなっているのかもしれません。

それでも重さ自体の違いは最大で2.5gほどで、私が持ってみて違いは感じられませんでした。

縫い目の高さに大きな違いが

MLB球縫い目の高さ
MLB球縫い目の高さ
NPB球縫い目の高さ
NPB球縫い目の高さ
BCリーグ球縫い目の高さ
BCリーグ球縫い目の高さ
六大学球縫い目の高さ
六大学球縫い目の高さ

注目したいのは縫い目の形状です。

縫い目の高さは縫い目を含めた直径から縫い目を含めていない直径の差から算出しています。

高さはMLB球が一番小さく0.75mmで、六大学球の1.35mmと比べると半分近くになっていることがわかります。

NPB球は0.95mmで、MLB球とそこまで差がありませんが、触ってみるとわずかな違いを感じ取れます。

なお、BCリーグ球と六大学球は、MLB球やNPB球に比べ、明らかに縫い目が高いのがはっきりと感じ取れます。

縫い目の幅に大きな違いが

MLB球縫い目の幅
MLB球縫い目の幅
NPB球縫い目の幅
NPB球縫い目の幅
BCリーグ球縫い目の幅
BCリーグ球縫い目の幅
六大学球縫い目の幅
六大学球縫い目の幅

縫い目の幅については逆になっています。

MLB球やNPB球が広く、逆に六大学やBCリーグ球は狭くなっています。

おそらく、縫い目の締め付け強度によりこの幅が決まるのでしょう。

MLB球やNPB球は締め付け強度が弱いため、高さが出ないで広さが出ているのだと考えれます。

逆にBCリーグ球や六大学球は締め付け強度が強く、高さが出る代わりに、狭くなっているのでしょう。

MLB球縫い目形状
MLB球縫い目形状
NPB球縫い目形状
NPB球縫い目形状
BCリーグ球縫い目形状
BCリーグ球縫い目の幅
六大学球縫い目形状
六大学球縫い目の幅

写真ではわかりにくいですが、六大学球の縫い目は高く狭くなっているのがわかると思います。

皮の感触

よく聞くのが、MLB球はパサパサして乾燥していて、NPB球はしっとりしている、という意見です。

残念ながら、私が触ってみてどのボールも違いはわかりませんでした(BCリーグ球は遊びで使っていたのでズタズタなので除外)。

ただ、ボールの表面にはロウが塗ってあり、砂でロウを落としているというのを球辞苑で見た記憶があるので、それをしないと違いが判らないのかもしれません。

ちなみにロウを落とす「もみ砂」は市販されていました。

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なお、MLBでもロウを落とす作業は行われているようです。

下記の記事ではその砂の質の影響で滑りやすいという事が記載されていました。

日本人投手はWBC本番前に確認を!“砂で揉んだ”滑るボールに要注意。(鷲田康)
巨人からボルチモア・オリオールズに移籍した上原浩治投手(現ボストン・レッドソックス)のメジャー初マウンドは、

ボールの感触の違いがロウを落とす作業による違いなのであれば、対策は簡単そうなんですけどね。

まとめ

サイズ、重さについてMLB球とNPB球でそこまで大きな違いはありませんでした。

感触については「もみ砂」の違いによる影響があるのかもしれません。

ただ、それよりもMLB球とNPB球に対してBCリーグ球や六大学球の違いが大きい事の方が気になりました。

次章で球質についての影響をまとめていますが、MLB球とNPB球でも違いが出ているので、BCリーグ球や六大学球ではさらに大きな差が出ていると思われます。

アマチュアで活躍して、プロで活躍できないというのが、意外にもボールの違いに順応できないから、というのはあるのかもしれませんね。

MLBの新旧のボールの違いが及ぼす球質への影響

MLBのデータを見て最近気になっていたのですが、ボールが違うことにより球質に違いが出ているようです。

MLBのホークアイのストレートのデータを2020年と2021年で比較した表が下記になります。

球速(km/h) 有効回転数(rpm) 変化量(cm)
2020 150.29 2074 44.59
2021 150.79 2068 45.86

ボールの変更前後の2020年と2021年(6月20日時点)を比較するとボールの変化量がわずかに大きくなっていることがわかります。

変化量は一般的に、有効回転数が大きくなれば増える傾向です。

*有効回転数についてなじみのない方は下記ご覧ください。

また、球速が速くなれば減少する傾向です。

2021年は2020年に対して、球速が速く有効回転数が低くなっていますので、普通に考えれば変化量は2020年よりも低く出るはずです。

しかし、変化量は逆に増加しており、これがボール変更の影響だと考えられます。

ボールの縫い目の影響なのかボール表面の状態によるものなのかはわかりませんが、データ的には新球の方が変化しやすくなっていると言えそうです。

もしかしたら、こういった背景をMLBが認識しおり、これを抑えるために粘着物質を規制しようか、という流れなのかもしれませんね。

NPB球とMLB球の変化量の違い

MLB球よりもNPB球の方が変化量が大きいようです。

下記の記事を参考に比較してみます。

中日・髙橋宏斗投手の球質を大公開!佐々木朗希・奥川恭伸らとの違いとは | Baseball Geeks

プロとはMLBではなくNPBと思われます。

プロ平均の球速を見ると下記サイトのデータとほぼ一致しているので、ブルペン投球など練習の数値ではなく、NPBの各球場で収集しているトラックマンのデータと考えて良さそうです。

1.02 Essence of Baseball
1.02は総合指標WAR、守備指標UZRをはじめとしたプロ野球の詳細データ、またそれを用いた分析コラムなどを発信する総合野球データサイトです。

以上のデータを比較の為、整理して表にまとめると下記になります。

  球速(km/h) 有効回転数(rpm) 変化量(cm)
NPB平均 145 2076 51.11
MLB平均 150.29 2074 44.58

NPBの方が球速が遅くなっていますが、5km/hほどなので変化量にはそこまで大きな影響はありません。

また、有効回転数は大きく違いはありません。

しかし、変化量に大きな違いが出ており、NPB球の方が6.5cmほど大きくなっていることがわかります。

また、下記の動画ではヤクルトのホークアイのデータが一部見れます。

球団アナリストによるホークアイ解説!

イノーアのデータが見れたので比較してみました。

  球速(km/h) 変化量(cm)
2019年(MLB) 150.4 45.29
2020年(NPB) 147.4 51.79

2020年のボールの回転データがわかりませんが、大きく変わっていないという前提です。

2019年の方が球速が速いので変化しにくい方向ではありますが、3km/hほどなのでそこまで変化量に大きな影響はありません。

変化量を見ると2019年に比べ2020年は約6.5cmほど増えていることがわかります。

先ほどのデータと近い値が出ており、これらのデータを見るとNPB球の方が変化量が大きいと言えそうです。

MLBがNPB球を採用したらどうなるか?

これはやってみないとわかりません。

しかし、変化量が多くなれば空振りが多くなると思われます。

下記の記事では4シームについて調査していますが、ホップ量が大きくなればなるほど空振りが増えているのがわかります。

また、スライダーは横変化量が大きくなると空振りが増えることもわかっています。

ただし、変化量が大きくなるという事は、ボールの軌道の違いが大きくなるということです。

最近では「ピッチトンネル」という言葉をよく耳にしますが、球種判断を遅らせることが重要とされています。

変化量が大きくなれば、軌道の違いがわかりやすくなり、球種判断が早くなる傾向になるでしょうから、打者にとっては打ちやすくなる可能性もあります。

その為、一概にどうなるということは現時点でわかりません。

ただ、以上のようなデータを見ると、NPBで活躍していてもMLBでは対応できない選手やその逆がいるのも、「ボールの違いによる変化量の違い」という要因は大きいのかもしれません(打者も投手も)。

そう考えると、ボールを変えることへの影響は大きくでてしまう場合もありそうです。

MLBはボールを変えるのであれば、変更後のボールの特性をよく理解した上で行う必要があるでしょう。

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