回転効率(spin efficiency)/解説やMLB平均などについて

投手が投げるボールの球質(変化量)を決める要因で大きいのは、回転数、回転軸、縫い目です。

その中でも回転軸は、「回転効率(spin efficiency)」と「回転方向(spin direction)」という2つの指標で表されるケースが多くなっています。

その為、この考え方について理解を深めることが、球質を改善していく上で重要になっています。

今回は回転効率(spin efficiency)について解説します。

回転効率(spin efficiency)とは?

回転効率とは

ボールの回転をどのくらいの効率で変化量に反映出来ているか?

を表した指標です。

回転効率が高いと、ボールの回転量を変化量に効率よく反映できているという事になります。

回転効率は0%~100%で表され、100%であれば回転量を最大限に変化量に反映できている、という事になります。

50%であれば、回転量の半分しか変化量に反映できていない事を意味します。

例えば、回転数2500rpmで回転効率が80%のボールの場合、2500×80%で2000rpm分が変化量に反映される、という計算になります。

この回転数×回転効率を「有効回転数」と表現します。

有効回転数は変化量と相関がありますので(下記図)、有効回転数を左右する回転効率を意識することが変化量を考えるうえで重要になってきます。

有効回転数と変化量の関係(2020MLB)

この有効回転数を決めるのに重要な回転効率は、ボールの回転する軸の向きが大きく影響してきます。

*変化量とはホップ量、横変化、落差、といったボールがどのくらい変化したかという量です

回転効率は進行方向軸との傾き(ジャイロ成分)で決まる

まずは下記の図をご覧ください。

上の図はボールと回転軸を表した図です。

y軸はボール進行方向、つまりキャッチャー方向です。

進行方向なので、投球の高低やコースによって多少の違いが出てきます。

x軸が地面と平行な軸で、Z軸が高さ方向を表しています。

中心Gと点Tを結ぶ線が回転軸で、回転速度ωで回転している、という意味です。

Θは天井方向から見た場合のX軸と回転軸の傾き(迎角)で、φは回転軸とXY平面との傾きです。

αは回転軸と進行方向であるy軸との傾きとなっており、αが0°の場合が回転軸と進行方向が一致するジャイロ回転と呼ばれています。

回転効率を表す際に利用するのがこのαで、最大の90°からαを引いた数値をジャイロ角度と呼びます。

回転効率の求め方

回転効率を求める場合は、αを使ってもいいですし、ジャイロ角度(成分)を使ってもどちらでも問題ありません。

例えばαを使う場合、0°の場合(ジャイロ回転)は回転効率が0、αが90°の時は回転効率が100%となります。

この関係はsin(サイン)で表現され、sin90°=1=100%、sin0°=0=0%となります。

ジャイロ角度を使う場合は、0°の場合が回転効率が100%、90度の場合(ジャイロ回転)が回転効率が0%となります。

この関係はcos(コサイン)で表現され、cos90°=0=0%、sin0°=1=100%となります。

引用:AREA

ラプソードではジャイロ角度を表記しているので、ジャイロ角度で覚えておいた方が良さそうです。

伊藤智仁さんのスライダー試し投げしたらマジで使えるかもしれないブルペン解説動画ラプソードデータ付き。

ジャイロ角度(成分)と回転効率の関係

回転効率はジャイロ角度のcos関数で影響してきます。

下記はジャイロ角度と回転効率・有効回転数の関係です。

ジャイロ角度(°) 回転効率(%) 有効回転数(rpm)
0 100% 2500
5 99.62% 2491
10 98.48% 2462
15 96.59% 2415
20 93.96% 2349
25 90.63% 2266
30 86.60% 2165
35 81.91% 2048
40 76.60% 1915
45 70.71% 1768
50 64.28% 1607

例えば回転数が2500rpmの場合で見ていきます。

ジャイロ角度が0 → 5° を比較してみると、有効回転数は10rpmほどしか違いがありません。

しかし、45 → 50° となると、有効回転数は160rpmほどの違いが出ています。

このように、ジャイロ角度が大きくなると、わずかな角度の違いで有効回転数に大きな違いが出てきます。

例えば、有効回転数を上げようと思っても、ジャイロ角度が少ない選手の場合は、大きな改善をしないと効果が出ません。

逆に、ジャイロ角度が大きい選手の場合は、ジャイロ角度をわずかに改善するだけで大きな効果が出るという事でもあります。

また、ジャイロ角度が大きい選手は、角度のわずかなズレで有効回転数が大きくバラつきます。

有効回転数は変化量に影響を与えますので、有効回転数がバラつけば変化量もバラつくので、制球がバラつく要因となっているケースも考えられるでしょう。

さらに、スライダーやカットボール系はジャイロ角度が大きい球種です。

その為、他球種に比べ変化量のバラツキが多くなっています。

下の図は2020年のダルビッシュの各球種の変化量をマップ化した図です。

2020年ダルビッシュの各球種の変化量

ジャイロ角度の少ない4シームのバラツキが少なくなっていることがわかると思います。

*ダルビッシュはスライダーを2種?、カッターを3種?使っているようです。
*変化量のバラツキは縫い目の違いによる影響もあります

回転効率のMLB平均

以上のような特徴がある回転効率ですが、下記が2020年のMLB選手の平均です。

球種 ジャイロ角度
(°)
回転効率
(%)
有効回転数
(rpm)
4シーム 25.1 88.8% 2026
2シーム 26.8 88.0% 1915
スライダー 67.7 37.5% 918
カッター 61.3 47.3% 1116
カーブ 44.7 68.5% 1700
チェンジアップ 22.6 90.4% 1558

*カーブはナックルカーブ込み、チェンジアップはスプリット込み

今後、ラプソードなどの計測器機でご自身の球質を計測する際の参考にして頂ければと思います。

上の数値は2020年からMLBに導入されたホークアイのデータとなっています。

ホークアイのデータに興味がある方は下記ご参照ください。

回転効率と競技レベルの関係

4シームに関しては競技レベルが上がるほどジャイロ角度が少なくなっていた、という研究結果があります。

その為、球質改善を行っていく上で、回転効率を意識することは非常に重要であると考えられています。

詳しくは下記ご参照ください。

また、下記の記事では回転方向について紹介していますので、ご参照頂けますと幸いです。

データ引用

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