スピンチェッカーの使い方

ツール紹介

スピンチェッカー」を公開しました。リンクからツールに飛べますが、限定公開となっています。

このツールは回転挙動と変化量を確認できるツールで、SSWにも対応しているのでピッチデザインには必須のツールだと考えています。

本記事は下記の目次内容となっています。目次から該当箇所へ飛べます。

スピンチェッカーについて

本ツールは、回転情報と縫い目位置を指定して、ボールの回転挙動を3Dモデルで視覚的にチェックできるツールです。

さらにそれらの情報を元にして、回転ベースの変化量(マグヌス力)と縫い目による変化量(SSW)を計算し、トータルの変化量を推定します。

SSW(シーム・シフト・ウェイク)についてはこちらをご参照ください。

これにより、相性の良い「回転軸と縫い目の組み合わせ」を確認できるので、ピッチデザインには必須のツールだと考えています。

使い方

使い方は簡単で、スライダーで値を設定するだけです。

各項目の説明をしていきます。

球速

球速はそのまま球速です。

球速が速くなると捕手までの到達時間が短くなるので変化量が少なくなります。

その為、違う球速帯で変化量を比較する際は注意が必要です。

変化量の定義は後述をご参照ください。

縫い目の位置

本ツールの縫い目位置の定義は下記としています。(ラプソード3.0とは違うかもしれません。)

  1. 回転軸と縫い目のズレを緯度・経度で表現
  2. 4シームを縫い目のズレが緯度0度、経度0度とする
  3. 回転軸に対してシーム緯度が投手側から見て時計回りにズレる方向をプラス
  4. 回転軸に対してシーム経度が天面側から見て時計回りにズレる方向をプラス

1と2は特に説明は不要かと思います。

3は下記の画像を参考にしてください。

45°と入力すると、画面から見て時計回りにシームがズレています。

4はわかりにくいですが下記の画像を参考にしてください。

45°と入力すると天面から見て時計回り、つまり画面側にシームがズレています。

経度は-45~45、緯度は0~180まで指定できるようになっています。

目安として

  • 4シーム→ 緯度:0°、経度:0°
  • 2シーム → 緯度0°、経度90°
  • 1シーム → 経度-45° or 45°、経度90°

となっています。

回転角度

スライダーで角度を指定してボールを手動で回転させることが出来ます。

任意の位置で回転軸と縫い目の位置を見たい時に使います。

回転軸

回転方向はこちらをご参照ください。

回転効率はこちらをご参照ください。

ジャイロ向きはジャイロ角度のプラス・マイナスの切り替えができます。

回転数

回転数はそのまま回転数です。

回転数が多くなると回転ベースの変化量(マグヌス力)が大きくなります。

回転:ON or OFF

回転はONで自動回転、OFFで回転停止です。

回転数の大小によって回転する速さが変わります。

視点

視点は捕手側、天面側、一塁側、投手側の切り替えが可能です。

3Dモデル

スライダーを切り替えると、その情報が3Dモデルに反映されます。

変化量

変化量は回転の影響を受けなかった場合に比べ、どれだけ落ちなかったかが縦変化量です。

横変化量は単純に横に変化した量です。

スライダーを切り替えると、各パラメータ情報を元に変化量が計算されます。

緑が回転軸ベースの変化量(MG)、黄色が縫い目の影響による変化量(SSW)、2つを合わせたのが変化量(TOTAL)です。

実践編

では実際にツールを使ってみます。

Twitterで下記投稿を見ました。

トラックマンポータブルの値が出ているので、まずはその情報を入れ込み、スピンチェッカーの3Dモデルと動画の縫い目位置を目視で一致させます。(回転数はbaseballsabant参照)

SSWの横変化量と縦変化量が大きくプラス側にシフトしており、TOTAL変化量はまさに横滑りのスイーパーになっています。

なので、回転軸と縫い目の位置の組み合わせは非常に良いと判断できます。

(*動画のトラックマンポータブルの横変化量の値が60cmを超えていますが、baseballsabantの値だと40cm強なので一致していません。使用ボールが公式球と違うか計測精度の問題と思われます。)

という具合に使うのですが、回転情報を取得できる環境が無いとピッチデザインへの活用は難しいでしょう。

先ほどの動画のようにボールに印を書く方法もありますが、SSWは回転軸と縫い目の位置の組み合わせで決まります。

なので、縫い目の位置だけ気にしてもあまり意味がありませんのでご注意ください。

最近では野球教室などへの普及によってラプソード計測が容易にできるようになってきています。

しかし、リリース映像まで対応しているケースはまだまだ少ないです。

そこでおすすめの撮影機器を紹介しておきます。少しでもリリース映像を撮影できる機会が増えれば幸いです。

おすすめのリリース撮影機器

リリース撮影におすすめはスマホです。

下記動画はGalaxy S20で投球プレート真上(投手としては気になる位置ですが、、、、)からリリース映像を撮影してみた動画です。

広角レンズなのでボールが小さいく、シャッタースピードの調整が出来ないのでやや残像が残りますが、1秒間に960フレーム撮影なので回転・縫い目位置・リリースはしっかり見れます。

価格は中古で2~3万円程度なので導入しやすいのも良いですね。

撮影場所やボールの小ささが気になるのであれば、スマホに取り付ける拡大レンズを使うのもいいでしょう。

ちなみに私が愛用しているソニーのRX10M4だとこんな感じです。

Galaxy S20と同じで1秒間に960フレーム撮影ですが、シャッタースピードを任意で設定できるので、ほぼ残像がない映像を撮影できます。

望遠レンズもあるので、投手の気にならない位置からズームで撮影ができます。

私が購入したのは定価18万円ほどの時でしたが、現在は円安などもあり定価28万円ほどで高いです(中古で15万円ほど)。

旧タイプのRX10M3でも代用可能で、こちらは中古で10万円強で売っています。

ラプソードインサイトやMLBやNPBなどでよく使われるエッジャートロニックに比べれば安いのでおすすめです。

ただし、撮影直後に動画をすぐにPCで確認できないので不便さはあります。

β版の理由

本ツールがなぜβ版なのか?

今のアルゴリズムは回転ベースの変化量と縫い目の影響による変化量を組み合わせて変化量推定を行っていますが、縫い目の影響による変化量推定は完全ではありません。

推定に必要なデータ数がまだまだ少なく、データが少ない部分(例えばアンダースローの投手など)の推定には改善の余地があります。

現在進行形でデータ数を増やす活動は続けていますが、少ないデータでも高精度を実現できる仕組みができないかを模索しています。

データ数は時間を掛ければ集められますが、膨大な時間が必要なので、まずはβ版でリリースします。

まとめ

以上が本ツールの解説と使い方でした。

ラプソード計測&指導の時や選手への計測結果フォードバックの際に使いたいので個人用に作成しました。

ラプソードなどの計測機器とスロー撮影ができる環境であれば、ピッチデザインの必須のツールだと思います。

現在、ごく一部の知り合いにのみ公開しています。

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